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京都地方裁判所 昭和44年(む)571号 命令 1969年12月27日

主文

被告人の保釈を許可する。

保釈保証金額は金一五万円とする。

右保釈保証金のうち金七万円にいつては、山口宇一から提出の保証書を以てこれに代えることを許可する。

被告人の住居を京都府○○市○○町○○○○○番地の一山口宇一方に制限する。

但し、被告人に対する神戸地方裁判所昭和四四年(わ)第二〇五号、兇器準備集合、建造物侵入被告事件に関する昭和四四年四月八日付同裁判所裁判官の保釈許可命令ならびに京都地方裁判所昭和四四年(わ)第八一三号公務執行妨害被告事件に関する同年一〇月二五日付同裁判所第二刑事部の保釈許可決定における各制限住居(いずれも○○県○○市○○○○○町○○番地 川原方)につき、それぞれ前項記載の住居地への変更を許可する旨の裁判があるまで、本裁判の執行を停止する。

理由

一件資料によると、被告人には刑事訴訟法八九条三号に該当する事由があると認めなければならないので、本件保釈請求は必要的保釈の場合には当らない。

しかしながら、一件資料のほか当裁判官において実施した被告人ならびに被告人の実父山口宇一に対する各審訊の結果を総合して認められる諸般の事情に鑑みるときは、被告人が保釈中実父方である主文第四項記載の住居地(以下、新制限住居という)に居住することになるのであれば、適正な保釈保証金額を定めたうえで、裁量保釈の措置をとるのが相当であると認められる。

しかして諸般の事情を考慮するときは、本件保釈保証金額は金一五万円と定め、そのうち金七万円については被告人の実父山口宇一から提出の保証書を以て現金納付に代えることを許可するのが相当であると認められる。

ところで、一件資料によっても明らかな如く、被告人は現在主文第五項記載の各被告事件との関係において、その制限住居をいずれも兵庫県○○市○○○○○町○○番地川原方(以下旧制限住居という)と定められたうえ各保釈中という立場にあるのであるが、前記諸般の事情に照らすときは、被告人が右各保釈の制限住居の定めに従って旧制限住居地に居住するというのであれば、本件保釈許可の裁判に基づき被告人の身柄を釈放するのは相当ではないと認められるので、右各保釈との関係においてもその制限住居がいずれも新制限住居地に変更することが許可せられて被告人が新制限住居地に居住することが確実になるまでは、本件保釈許可の裁判の執行を停止する必要があるものといわなければならない。

よって主文のとおり命令する。

(裁判官 栗原宏武)

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